家を買うと決めたとき、一番にぶつかった壁が「住宅ローン」でした。
私たち夫婦にとって、ローンという言葉すら遠い存在だったのに、気づけば何千万円という金額をどう借りるか、真剣に考える日がやってきました。

住宅ローンは何を基準に、どう選べばよいのか、全くわかりませんでした。
本当に返していけるのかも不安でした。
今回は、そんなわが家が実際に勉強した「住宅ローンの基礎知識」についてまとめてみたいと思います。これから家を買おうとしている方の参考になればうれしいです。
住宅ローンって、そもそも何?
家を購入する多くの人が利用する「住宅ローン」。
住宅は高額な買い物なので、現金一括で購入するのは難しいですよね。住宅ローンは、購入に必要な金額を金融機関から借り、長期間かけて返済していく仕組みです。
返済期間は一般的に30〜35年。月々返済しながら、少しずつ「自分の家」にしていく感覚です。

「いくら借りられるか」ではなく、「いくらなら返せるか」を基準に、無理のない金額でローンを組むことにしました。
住宅取得資金って?
住宅取得資金とは、マイホームを購入したり建てたりするために必要となるすべてのお金のことをいいます。
「物件の購入費」だけでなく、「諸費用」や「引っ越し代」「家具家電の購入費」なども含めて総額で考えることが大切です。
①物件価格
住宅そのものの価格。新築でも中古でも、家の価格がここにあたります。
②諸費用
購入に伴ってかかる、さまざまな手続き費用のこと。
・登記費用(所有権移転・抵当権設定など)
・仲介手数料
・住宅ローンの手数料や保証料
・火災保険料
・固定資産税の清算金 など
➡ 一般的に 物件価格の5%〜10%程度 と言われています。
③引っ越し・住環境整備費
・引っ越し代
・カーテンや証明
・エアコンや家具家電の新調費用
・物件の管理費や修繕積立金 など
➡ 意外と見落としがちですが、数十万円〜100万円程度になることも。
住宅取得資金の準備方法
①自己資金(頭金)
貯蓄から出すお金。一般的に物件価格の20%程度が理想とされますが、最近は頭金ゼロでも購入できる住宅ローンもあります。諸費用を含めて30%程度あると安心です。
住宅購入はゴールではなく「暮らしのスタート」。
そのため、わが家では以下のように考えました:
手元に【生活費1年分+突発費用】を残す
それ以外を頭金とする
生活費の中には、食費、電気代、ガス代、上下水道代、住民税、固定資産税、健康保険料、車の保険、車検の費用など含めて考えました。

無理のない範囲で、ローン返済と貯蓄を両立できるようにしました。
②住宅ローン
多くの人が利用する資金調達手段。金融機関から借り入れて、数十年かけて返済していきます。
③親や祖父母からの贈与
住宅取得資金の贈与には、非課税制度があります。一定の要件を満たせば、贈与税がかからずに資金援助を受けることも可能です(上限あり)。
住宅取得資金の例(概算)
項目 | 金額の目安(例) |
物件価格 | 3,500万円 |
諸費用(7%) | 約245万円 |
引っ越し・家具代 | 約100万円 |
合計 | 約3,845万円 |
➡ 自己資金として800万円、住宅ローンで3,045万円借入、というような資金計画が必要になります。
マイホーム購入は「総額」で考えることが大切!
住宅取得は人生でも大きな買い物のひとつ。
「物件価格だけ」で考えるのではなく、「諸費用」や「住み始めてからの費用」まで見通すことが、無理のない資金計画の第一歩です。
これから住宅購入を考えている方は、ぜひ一度ご自身の「住宅取得資金」全体を整理してみましょう。
住宅ローンの種類
民間住宅ローン
概要:銀行・信用金庫・ネット銀行などが提供する住宅ローンです。公的制度に比べて商品ラインナップが豊富で、金利タイプや保障内容などの選択肢が幅広いです。
主な特徴:
- 金利タイプは「変動金利」「固定期間選択型」「全期間固定型」など多様
- 審査基準や金利は金融機関ごとに異なる
- 団体信用生命保険(団信)の加入が原則必須
- 金利優遇やキャンペーンが頻繁にある
メリット:
- 低金利が狙える(特にネット銀行など)
- 自分に合ったプランを選べる自由度が高い
- 借入額や返済年数の選択肢が広く、柔軟に対応できる
- 提携住宅会社を通すと審査がスムーズなことも
注意点:
- 金利変動リスクがある(特に変動金利型)
- 金融機関ごとに審査の厳しさが異なる
- 保証料や手数料がかかる場合も(要確認)
- 団信の保障範囲がプランによって異なるため注意が必要
財形住宅融資
概要:財形貯蓄をしている勤労者が利用できる、住宅取得のための融資制度です。勤務先が財形貯蓄制度を導入している必要があります。
主な特徴:
- 勤務先で財形貯蓄(一般・住宅・年金)のいずれかを1年以上継続
- 融資額の上限:最大4,000万円(ただし、財形貯蓄残高の10倍まで)
- 使用目的:新築住宅、中古住宅、増改築など。借換えは対象外。
- 金利:5年間固定金利(5年ごとに金利の見直し)
メリット:
- 比較的低金利で借りられる
- 金利が5年間固定で安心
- 事務手数料や保証料がかからない
注意点:
- 勤務先に制度がないと利用できない
- 財形貯蓄が必要(一定の残高が条件)
- 融資の用途や金額に制限がある(借入可能額は最大4,000万円)
フラット35
概要:住宅金融支援機構と民間金融機関が提携して提供する、長期固定金利の住宅ローンです。
主な特徴:
- 融資額:100万円〜8,000万円
- 融資期間:15年以上〜最長35年(下限は申込者が60歳以上の場合は10年、上限は申込者が80歳になるまでの年数と35年の短いほう)
- 金利:申し込み時の金利で固定(民間金融機関ごとに異なる)
- 使用目的:新築住宅、中古住宅、借換え。増改築は対象外。
メリット:
- 完全固定金利なので将来の返済計画が立てやすい
- 自営業や契約社員でも借りやすい
- 保証料・繰上返済手数料が不要
注意点:
- 金利が変動型ローンより高め
- 一定の技術基準を満たす住宅でなければ利用不可(適合証明が必要)
- 融資条件として、年収400万円未満なら30%以下、年収400万円以上なら35%以下という条件がある
どれを選ぶべき?
項目 | 民間住宅ローン | 財形住宅融資 | フラット35 |
---|---|---|---|
借入先 | 銀行・信用金庫・ネット銀行など | 勤務先の財形制度(提携機関) | 民間金融機関+住宅金融支援機構 |
金利タイプ | 変動・固定期間選択・全期間固定など | 固定金利 | 全期間固定金利 |
金利水準 | 金融機関や選択金利により異なる | 年利1.0%(上限)※条件あり | 金融機関によって異なるがやや高め |
利用条件 | 各金融機関の審査基準による | 財形貯蓄を1年以上・50万円以上継続している人 | 技術基準を満たす住宅を取得する人 |
借入限度額 | 住宅価格・年収・審査により異なる | 最大4,000万円 | 最大8,000万円(フラット35プラスを含む) |
団体信用生命保険 | 多くの金融機関で加入が条件(内容が選べる) | 加入は任意 | 加入は任意(別途保険料が必要) |
保証料 | あり(保証会社利用時) | 不要 | 不要 |
繰上返済手数料 | 金融機関により異なる(無料のことも) | 原則無料 | 無料 |
審査の難易度 | 比較的厳しめ | 財形貯蓄実績があれば比較的スムーズ | 自営業者なども利用しやすい |
メリット | ・低金利が狙える ・選択肢が多い | ・勤務先によっては有利な条件 | ・固定金利で安心 ・保証料が不要 |
デメリット | ・金利変動リスクがある場合も | ・制度利用者のみ対象 | ・民間より金利が高め ・団信が任意で有料 |
財形住宅融資は公務員や大手企業勤務の方に多く、条件に当てはまれば金利面で有利。
フラット35は将来のライフプランが読みづらい人や、安定した返済計画を重視したい人向け。
民間住宅ローンは最も柔軟で、特にネット銀行などは低金利競争が激しい。
どちらも長期にわたる大きな買い物に関わる融資なので、自分のライフプランや返済計画に合わせて選ぶことが大切です。
住宅ローン金利とは?
住宅ローンの基本にして、最大の悩みどころが「金利の種類」。
主に以下の3つがあります。
金利タイプ | 特徴 |
固定金利型 | 借入時の金利が完済まで固定。毎月の返済額が一定で、計画が立てやすい。 |
変動金利型 | 金利が半年ごとに見直される。初期の金利は低いが、将来的に上がる可能性も。 |
固定金利選択型 | 3年・5年・10年など一定期間だけ固定。終了後は変動か再固定を選べる。 |
わが家は、民間住宅ローンの変動金利型を選びました。一番の理由は「金利が圧倒的に低い」こと。
変動金利は固定金利に比べて、初期の返済額が抑えられるため、安心感がありました。
月々いくらまでなら返せる
金融機関は「借りられる金額」を教えてくれますが、それが「安心して返せる金額」とは限りません。

わが家の場合、月々の住宅費は「今の家賃+2万円以内」に抑えることを目安にしました。さらに以下の点も考慮しました。
- 教育費(保育園→習い事→高校・大学…)
- 車の買い替えや旅行などライフイベント
- 老後資金への積立
- 働き方の変化(時短勤務・転職など)
そのうえで、月々の返済額をシミュレーションし、「このくらいなら心配せずに暮らせそう」と感じられるラインを見つけました。
ローン以外にもお金がかかる!見落としがちな諸費用
実は、住宅購入には住宅の購入費用以外にも多くのお金がかかります。
- 登記費用、印紙代
- 火災保険や地震保険
- 銀行への事務手数料や保証料
- 引っ越し費用、家具家電の買い替え

住宅を購入するときまで、これらに費用が掛かることを知りませんでした。
わが家は、これらの費用も含めた「トータルの資金計画」を立てることで、あとから慌てずに済みました。
まとめ|住宅ローンは「知ること」から始まる
初めての住宅ローンは、わからない言葉ばかりで不安も大きかったですが、少しずつ学ぶことで「自分たちに合った選択」が見えてきました。
家族の考え方や、将来のライフプランによって選ぶべきローンも違います。
わが家は「借りられる最大額」ではなく、「安心して暮らし続けられる額」で決めました。
住宅ローンは、家族の幸せな暮らしを叶える手段。
無理なく返していける計画を立てることが何より大事だと思っています。

「自分たちの選択は間違ってないかな?」そんなモヤモヤを感じたとき、専門家にちょっと話を聞いてもらうだけでも、気持ちがずいぶん楽になります。
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これから家を買う方へ。
ぜひ焦らず、「わが家にちょうどいい暮らし方」を大切に、じっくり計画してみてくださいね◎
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